従来、災害が発生した際には人が直接現地に向かい、災害状況を把握することが基本でした。しかし、一旦災害が発生した現場は、道路が寸断されるなどで立ち入ること自体が困難な場合があり、仮に立ち入ることができても二次災害に見舞われる危険性もあります。こうした現場に対しては、有人の航空機を飛行させ、空から状況を把握する手法も取られてきていますが、例えば火山噴火が起こった場合には、航空機で近付くことにも危険が伴います。そこで近年、著しいスピードで開発されてきているのが、無人の航空機やロボットを遠隔操作し安全に災害現場を調査する、無人災害調査の技術です。特に、UAV/ドローンと呼ばれる小型の無人航空機(以下、UAV)の開発は目覚しく、災害時の利用が進んでいます。災害時におけるUAVの大きな役割として、カメラを搭載させて飛行し、災害現場の状況を撮影することが挙げられます。UAVは低空で飛行できるので、詳細な現場の状況を撮影することが可能です(図1、2)。また、プロペラが複数搭載されたタイプは、安定して空中に静止できるため、火口などの注視したい箇所の上空に留まって映像を配信したり(永谷他、2015)、UAVから自走式のロボットを落として地上からの情報を伝える技術などが開発されてきています。UAVに関する技術開発はまさに日進月歩であり、今後も災害現場に応用される機会はますます増えると考えられています。
参考文献
・永谷圭司他(2015)マルチコプターによる桜島昭和火口と周辺の撮影.写真測量とリモートセンシング,2015, vol. 54, 116-117.
・阪上雅之(2015)マルチコプターを利用した活火山での緊急調査.土木施工,2015年6月号,68-71.
(2019年05月10日 更新)
(2015年11月18日 初稿)