直接水準測量は、図1に示すように、レベル(level:水準儀ともいいます)と標尺(leveling staff:スタッフともいいます)を用いて行います。レベルは、望遠鏡の視準線を水平にし、この水平視準線により、2点間に鉛直に立てられた標尺の目盛を正確に読み取る器械です。標尺は棒状の尺で、精度を要する水準測量では、インバール製で全長が3m程度のものが用いられ、0.01mmまで読み取ることができます。一般の水準測量で使われるのは、アルミ製の引き抜き式の尺(箱尺)で3~5m程度、5mm間隔の目盛が付けられ、最小読み取り値は1mmです。近年デジタル画像処理技術を利用した電子式レベルも普及してきました。デジタルレベルと呼ばれる器械で、バーコードに似たパターンが刻まれた専用の標尺を用いることにより、自動的に目盛りを読み取ることができます。
代表的な間接水準測量の方法としては、図2に示すように、トータルステーションなどで2点間の鉛直角と水平距離または斜距離を測定し、三角法により高低差を求める三角水準測量がありますが、直接水準測量より測定精度がかなり低くなります。直接水準測量を行うことができない渡海水準測量や渡河水準測量などで行われています。
近年、GPS、GLONASS等の衛星測位システムが充実し、国土地理院より高精度のジオイド・モデルが提供されるようになったことにより、GNSS測量機を用いるスタティック法で高精度に水準測量が行えるようになりました。これはGNSS水準測量と呼ばれています。
(2020年11月20日 図の更新)
(2015年11月18日 初稿)