私達の生活の中で、目的地を設定してそこまでのルートを地図上に表示し、現在位置に合わせて経路を案内してくれるサービスは、カーナビゲーションやスマートフォンの地図サービスの中で当たり前に使われるようになってきています。このサービスを実現する上で核になるものが現在位置を推定する技術で、既存のナビゲーションではGPSに代表される衛星測位システムを使って実現されています。そのため、衛星測位システムの電波が届かない屋内空間では現在位置を推定することが出来ず、屋内空間を対象としたナビゲーションはこれまで存在しませんでした。しかしながら、スマートフォンの登場により、スマートフォンに搭載された様々なセンサーを利用することで屋内空間において衛星測位システムの代わりになるような様々な測位方法が登場し始めました。それにより屋内ナビゲーションも実用化が進みつつあります。
特に、日本には東京駅、新宿駅、渋谷駅、名古屋駅、大阪駅など、大規模かつ複雑な地下空間が多く存在しています。これらの地下空間で屋内ナビゲーションサービスが提供されると、経路に迷う人の数も減り、利便性の向上が期待されます。また、大規模な商業施設やアウトレットモールなどにおいても、屋内ナビゲーションサービスによる利便性向上が期待されています。将来的には、災害発生時の避難誘導としても利用が期待されており、国による実証実験が進められています。
参考文献
・東京駅周辺高精度測位社会プロジェクト
(2015年11月18日 初稿)