Delaunay図

平面上に複数の点が与えられたとき、これらの点を母点として、Voronoi図を作成することができます。作成されたVoronoi図において、Voronoi領域の境界の辺を共有する母点を線分(これをDelaunay辺と呼ます)で結ぶと、与えられた点の集合の凸包(すべての点を内部あるいは境界に含む最小の凸多角形)を三角形で分割することになります。この平面分割をDelaunay三角形分割と呼び、Delaunay三角形分割の結果を図示したものがDelaunay(ドロネー、デロネー、ドローネ)図です。この定義は、Delaunay図がVoronoi図の双対グラフであることを利用した定義です。Delaunay図は、3点を通る円が他の点を含まないような、すべての3点の集合をそれぞれ三角形として結んだものであるという定義もあります。Delaunay図の名はロシアの数学者Boris Delaunay(英語表記)にちなんだものです。
 Delaunay三角形分割は、構成する三角形の内角の中の最小角を最大にするもので、他の三角形分割と比べてより正三角形に近い三角形を与えるという性質があります。標高の補間のように、平面上に分布する標本点での値を用いたデータの補間では、標本点同士を結んで三角形の集合を作り、各三角形の内部で個々に補間を行うことがよく行われます。このとき作成する三角形が正三角形に近い方が、自然な補間を行えるため、標高の補間に用いるTINの生成では、Delaunay三角形分割がよく用いられます。
 地理情報システムの空間分析では、「自然な」隣接点を定義するのにDelaunay三角形分割を用いることがあります。Delaunay辺で結ばれている点対は、視覚的に「隣にあるように見える」場合が多いためです。画像処理でも、このことを利用して、テクスチャ解析などを行うことがあります。

(2016年11月04日 初稿)

English

Delaunay diagram

定義

平面上に複数の点が与えられたとき、これらの点を頂点とする三角形で平面を分割する手法の1つにDelaunay三角形分割があり、Delaunay三角形分割の結果を図示したものがDelaunay(ドロネー、デロネー、ドローネ)図です。Delaunay図の代表的な定義は、Voronoi図において領域の接する点対をすべて結んだ図とするものです。他に、3点を通る円が他の点を含まないような、すべての3点の集合をそれぞれ三角形として結んだものをDelaunay図とするという定義もあります。