DEMには、図1に示すように、平面上にランダムに配置された点の平面座標と標高の集合で地形を表現する方法があります。このようにランダムに配置されたデータでは、他の地形表現法(たとえば格子点標高による表現や等高線による表現など)への変換や、ある特定の点の標高の内挿、あるいは地形の解析に不便であるため、TINと呼ばれるデータ構造を導入することがよくあります。レーザスキャナや画像マッチングで取得された地形形状データの配置は、ほとんどの場合、ランダムになるため、このようなデータの表現にはTINがよく用いられています。
TINでは、図2に示すように、ランダムに配置された標高点の任意の3点で構成される三角形の集合で地形を表現します。三角形を構成する3点の選択は任意ですが、地形をできるだけ正確に表現できる三角形群をどのように自動発生させるかが、TINを利用する上でのもっとも大きな問題となっています。
TINの生成では、まず三角形分割を平面上、すなわち標高点の標高に依存しないで、標高点の平面位置だけを用いて行うのか、あるいは空間中、すなわち標高点の標高を考慮して行うかを決めます。通常は、地形形状を考慮せず、標高点の平面位置だけを用いて三角形分割を行います。つぎに、最適な三角形分割がどのようなものであるかを定義します。最大角が最小となるような三角形分割も考えられますが、最小角が最大となるような三角形分割を最適な三角形分割とするのが一般的です。標高点の平面位置だけを用いて最小角を最大化する三角形分割の代表的なアルゴリズムとしてはDelaunay三角形分割があります。
(2015年11月16日 初稿)