レーザスキャナでは、通常回転ミラーを用いてレーザの照射方向を変化させて対象物を走査します。レーザの照射方向を1次元線的に変化させて対象物の2次元形状(線状の奥行き)を取得する2Dスキャナと、レーザの照射方向を2次元面的に変化させて対象物の3次元形状(面的な奥行き)を取得する3Dスキャナがあります。2Dスキャナは、航空機や自動車などの移動体に搭載し、移動しながら計測することにより、対象物の3次元形状を取得することができます。この場合、計測時点での移動体の位置や姿勢の情報が必要です。
対象物までの距離の測定は光レーダ法で行われます。利用される光レーダ法には、以下の2種類の方法があります。
① 飛行時間(Time of flight)法
レーザパルスを照射し、対象物で反射して帰ってくるまでの時間を計測し、計測された光の往復の飛行時間から対象物までの距離を求める方法です。この方法では、光の往復時間の計測精度の制約により、距離の計測誤差を1cm以下にすることは一般に困難です。
② 位相差法
光の強度を正弦波状に変調したレーザ光を照射し、対象物への照射波と対象物からの反射波との位相差を計測し、計測された位相差から対象物までの距離を求める方法です。この方法は、飛行時間法よりも高精度の測定結果(たとえば計測誤差が2mmなど)が得られますが、位相差を検出できるだけの反射光が必要となるため、観測条件の制約が増えます。
(2015年11月18日 初稿)