可視・反射赤外リモートセンシングにおいて観測する電磁波の放射源は太陽です。太陽は約0.5 μmをピークとする電磁波を放射しています。一方、常温の地表物体から放射される電磁波は約10 μmにピークがあります。太陽光の反射と常温の地表物体の放射とは赤外域では混在し、両者は3 μm付近でほぼ均衡しています。そのため、反射赤外域は波長がほぼ0.7μm~3μmの範囲とされています。
可視・反射赤外リモートセンシングは、太陽光の反射が卓越する波長域の電磁波を用いるもので、物体による太陽光の反射波のエネルギーを観測します。得られるデータは対象物の反射率に大きく依存するものです。可視・反射赤外リモートセンシングでは、物質による反射特性、特に分光反射特性の違いを基にして、対象物の識別、分類、判読および分析を行います。
可視・反射赤外リモートセンシングは、リモートセンシングの初期の頃から行われてきたもので、土地被覆や植生の調査、水産資源の調査、鉱物資源探査などを目的として、陸域や海洋の幅広い分野で行われています。可視域や近赤外域を観測するセンサは高解像度とすることが可能であり、人工衛星に搭載されたセンサで数十cmの地上解像度の画像を取得することもできます。得られた高解像度の画像は、都市計画や市街地の環境調査などに利用されています。
(2015年11月18日 初稿)