日本では、東日本大震災後の原子力発電所の停止によってエネルギー自給率の低下、電力料金の上昇、CO2排出量の増加といった問題が浮き彫りになりました。エネルギー基本計画(平成26年4月)では、安全性(Safety)を前提とした、エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済効率性の向上(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)を図ることの3点を改めてエネルギー政策の基本的視点(3E+S)としました。
長期エネルギー需給見通し(平成27年7月)では、日本のエネルギー自給率が、非資源産出国のスペイン、イタリア、韓国と比較しても極度に低い水準(6%程度)であることが示されています。一次エネルギー調達先の多様化や国産資源の開発を進め、自給率が震災前を上回る水準(25%程度)となることを目指しています。
原子力発電所の停止により火力発電で代替して電気を供給したことで、輸入燃料費が増え、家庭用、産業用共に電気料金は上昇しました。日本政府は、エネルギー調達価格を低減する取組を進め、電力コストを現状(平成27年7月)よりも引き下げることを目指しています。
また、火力発電の焚き増しで、日本の2012年度のCO2排出量は、2010年度比で8300万トンの大幅な増加となりました。徹底した省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの導入拡大により2030年度のエネルギー起源CO2排出量は、2013年度総排出量比で21.9%減を見込んでいます。さらに、温室効果ガス排出削減量は、2013年度比で26.0%減を目指しています。
参考文献
・経済産業省(2014年4月):エネルギー基本計画
・経済産業省(2015年7月):長期エネルギー需給見通し
・経済産業省(2015年):日本のエネルギー(広報パンフレット)
・日本風力エネルギー学会誌(2015年8月):2030年度におけるわが国の「エネルギーミックス」の策定、第39巻、第2号(通巻114号)
・電気事業連合会(2015年5月20日):電気事業連合会会長定例記者会見配布資料(資料3)
・電気事業連合会:電源のベストミックス、2016年10月28日
(2017年2月1日 初稿)