ブルーカーボン生態系は、地球温暖化対策において重要な役割を担っています。年間吸収量は、陸上の森林によって吸収・貯留される炭素(グリーンカーボン)の19億トンに対し、ブルーカーボンは25億トンと試算されています。その特性としては、海底に埋没・堆積することで分解・無機化が抑制されるため、炭素の貯留期間が数百年~数千年と長いことが挙げられ、グリーンカーボンを上回る炭素貯留ポテンシャルを有しているとされています[2][3]。
世界第6位の海岸線延長を持つ日本では、ブルーカーボンが重要なCO2吸収源として期待されており、国や自治体のほか、民間企業からも高い注目を集めています[2]。さらに、ブルーカーボン生態系は、多様な海洋生物にとっての重要な生息場としての役割や水質浄化といった機能も有することから、水産資源の維持や海洋環境保全の観点からも重要な役割を担っています。
このような背景を踏まえ、近年、ブルーカーボンのカーボンオフセットの仕組みの構築が世界各国で徐々に構築されつつあります。カーボンオフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができない温室効果ガスの排出について、削減努力を行ったうえで、どうしても排出される分については、温室効果ガスの削減活動への投資などによって埋め合わせるという考え方です。国内では、ジャバンブルーエコノミー技術研究組合が「Jブルークレジット制度」を令和4年に創設しています[2]。
Jブルークレジットは、カーボンクレジットの一種で、海洋生態系の保全・再生活動によって増加したブルーカーボンを定量化し、取引可能なクレジットとして活用する手法です。この制度では、クレジットの申請者(活動実施者)は、クレジット売却による資金の調達や認知度向上につながり、クレジット購入者は、CO2削減への貢献や温暖化対策活動の開示が可能となり、双方にとってWin-Winとなる環境と経済の好循環を生み出す仕組みとなっています[2]。今後、制度の普及によってブルーカーボン生態系の保全・再生が進むことで、地球温暖化対策への貢献と同時に、水産資源の活性化や水質浄化、生物多様性の維持・向上にもつながることが期待されます。
[参考文献]
[1] UNEP, 2009. Blue Carbon, The Role of Healthy Oceans in Binding Carbon.
[2] ジャパンブルーエコノミー技術研究組合, 2024. Jブルークレジット®認証申請の手引き―ブルーカーボンを活用した気候変動対策― Ver.2.4.
[3] 桑江朝比呂, 2024. ブルーカーボン定量化に向けた新しい計測手法とその応用, Journal of Advanced Marine Science and Technology Society,Vol.29,No.1.
(2026年02月26日 初稿)