私たち人類と他の生物のかかわりは、2008年制定の「生物多様性基本法」前文において、次のように記されています。「生命の誕生以来、生物は数十億年の歴史を経て様々な環境に適応して進化し、今日、地球上には、多様な生物が存在するとともに、これを取り巻く大気、水、土壌等の環境の自然的構成要素との相互作用によって多様な生態系が形成されている。人類は、生物の多様性のもたらす恵沢を享受することにより生存しており、生物の多様性は人類の存続の基盤となっている。」
ところが近年、CO2等温室効果ガスの増加による気候変動、熱帯雨林の面積縮小、海洋汚染、人間活動によって移動する外来種などにより、種の絶滅や、遺伝子の交雑、生態系を構成する種の単純化といった、生物多様性に影響が及ぶ事態が生じています。
このような状況の進行を食い止め、地球規模で生物多様性の保全・維持を目指す枠組みとして「生物多様性条約」が採択されました。国レベルでは「生物多様性基本法」が制定され、国による施策策定のほか、地方公共団体による生物多様性地域戦略の策定を努力義務としています。2015年までに98自治体による93の地域戦略が策定されました。加えて、事業者は生物多様性に配慮した事業活動に努めること、国民は生物多様性保全の取り組みへ協力することが挙げられており、様々な主体による生物多様性保全活動への参加・連携が始まっています。
参考文献
1.生物多様性基本条約(生物の多様性に関する条約 平成五年(1993年)十二月二十一日 条約九)
2.生物多様性基本法 前文(平成二十年(2008年)六月六日法律第五十八号)
(2016年10月26日 初稿)