工事現場における施工管理や安全管理、地すべりや不安定斜面の変位監視など、構造物や地盤の変位(動き)を計測するための様々な手法が利用されています。
変位計測手法としては、計測対象や計測場所などの条件により、光波測量、伸縮計、GNSS(GPS)計測、傾斜計など、様々な手法が用いられています。
従来は、計測対象となる現地にて定期的に手動で計測を行う「手動観測」や、データロガーと呼ばれる記録装置を現地に設置し、人が定期的に計測データを回収する「半自動観測」が主流でした。
現在では、携帯電話やインターネット等の通信ネットワーク技術の充実により、リアルタイムで現地の計測データを取得できる「自動計測」の利用が進んでいます。
自動計測のメリットは、計測対象の変化・変状発生が即座に把握できることや、現地への立入りが不要なため安全面・コスト面での利点があります。
自動計測によって、安全対策の実施や避難の呼びかけ、通行止め処置といった防災・減災への利用に役立てることができます。
GNSS計測によりmm単位の変位計測を行い、計測データをインターネットで配信し、危険度判断の目安として設定した基準を超える変位が発生した場合にメールや電話で通報する「shamen-net」というサービスも開発されています。
今後も、老朽化が進むインフラ施設のモニタリングや、豪雨災害に対する警戒避難体制への活用など、自動変位計測への需要はますます増加するものと考えられます。
(2015年11月18日 初稿)