港湾施設維持管理測量

港湾施設維持管理測量

港湾施設は、平成25年6月に交付された改正港湾法において、定期的に点検を行うことが規定されました。港湾施設は、厳しい自然条件下に置かれるため、材料の劣化、部材の損傷、基礎等の洗掘、沈下、埋没により、性能低下が予想されます。維持管理測量は、測量、目視調査、潜水調査、詳細部材調査等により、港湾施設の状態を正確に計測・測量する技術です。

対象の港湾施設は、水域施設、外郭施設、係留施設、臨港交通施設などです。維持管理測量の基本である目視調査では、施設を丁寧に観察し、異常個所を発見する技術者の熟練した目と耳や経験が必要です。具体的には、外郭施設のひび割れや変状、係留施設である桟橋のサビ具合、ハンマーで叩いたコンクリート施設の空洞確認などを実施します。詳細な調査の場合、水域施設では、ナローマルチビーム測深機を用いて、高密度な水深データを測量して、運行船舶に支障を来たす水深の浅い箇所や、沈木などによる水深の異常箇所を見つけます。また、防波堤や護岸の空洞などは、地中レーダーやファイバースコープを用いて調査します。

今後は、高度経済成長期に集中整備された港湾施設の老朽化や技術者の減少などが、さらに進行していきます。このため、維持管理測量では、新たなセンサー技術の開発、三次元化データ利用による維持管理情報データベース構築など、効果的かつ効率的な点検、モニタリング、補修、改良にかかる新技術が必要とされます。

(2015年11月18日 初稿)

English

Maintenance Surveying of Port Facilities

定義

港湾施設維持管理計画は、施設全体及び部材の維持管理についての基本的な考え方、計画的かつ適切な点検診断の実施時期、維持補修の内容、時期等について、施設設置者が策定するものです。港湾施設維持管理測量では、維持管理計画の策定に当たって、施設の変状、劣化度、置かれている環境等を把握するために現地調査を実施するものです。