広域に及ぶ火山災害の対策は、自治体、気象台、地方整備局等、自衛隊、警察、消防機関、火山専門家の他、観光関係団体等も含めて、共同して対応していく体制が必要です。このため、平成23年12月の防災基本計画修正において、火山周辺の自治体等で構成する火山防災協議会の必要性が示されました。平成24年3月には「噴火時等の具体的で実践的な避難計画策定の手引き」が示され、さらに、平成27年12月の活動火山対策特別措置法改正に基づき、火山災害警戒地域に指定された自治体等での火山防災協議会設置が義務化されています。各協議会において火山噴火時の具体的で実践的な避難行動と平常時からの対策についてとりまとめた火山避難計画が策定されています。
住民、登山者等の安全をはかるため火山避難計画は、おもに気象庁の噴火警報・予報、特に噴火警戒レベルが導入されている火山ではその5段階の噴火警戒レベルに応じて行動が規定されるものとなっています。避難すべき地域は、事前に作成されている火山ハザードマップにおける危険範囲、避難にかかる時間等を参考に、噴火の状況によって総合的に判断することとなります。火山災害の場合には短時間で多くの住民等が比較的遠くへ避難する必要があるため、バスなどによる避難が、また、火山島などでは船舶による避難が検討されています。多くの場合、市町村外への避難を実施する必要が生ずるため、自治体間の共同対応が必要となります。
参考文献
火山防災対策の推進に係る検討会(2012):噴火時等の具体的で実践的な避難計画策定の手引き(内陸型火山編),pp.63,内閣府
火山防災対策の推進に係る検討会(2012):噴火時等の具体的で実践的な避難計画策定の手引き(島しょ型火山編), pp.63,内閣府
(2016年10月17日 初稿)