日本列島は、崩れやすい地盤条件のうえに台風常襲地帯であり、人口稠密な条件も加わって毎年どこかで土砂災害がくりかえされています。このような土砂災害を防止・軽減するために行うのが、砂防ダムの設置などを主体とした砂防事業であり、その配置を決めるのが砂防計画です。さらに、砂防計画を立案するために必要な根拠や基礎資料を調査するのが砂防調査です。
砂防調査の一番の目的は、対象流域内の不安定な土砂の分布状況や量を把握することと、それらが豪雨のときにどれだけ流出してくるかを推定することです。不安定な土砂は、おもに崩壊地や渓床・河床に分布していますが、それらは空中写真を判読することによって求めることができます。さらにその土砂量は、現地でサンプル調査(写真参照)を行うことによって推定します。また豪雨時の流出土砂量は、その地域で過去に起こった最大の災害を対象として推定することが一般的です。
最近の砂防調査では、土砂の分布や変動量を把握するために、レーザ測量が用いられようになりした。従来は、空中写真測量を用いた災害前後2時期の断面比較によって変動量を算出していましたが、レーザ測量では面的に比較できるため、より精度よく変動量が計測できるようになりました。また衛星画像を用いた流域内の植生状況の変遷なども砂防調査に取り入れられるようになりました。
(2014年12月12日 初稿)