雨水出水浸水想定区域図

雨水出水浸水想定区域図は、水防法第14条の2の規定に基づき、公共下水道施設等の管理者である都道府県または市町村が作成するものです。
雨水出水浸水想定区域図をもとに避難場所やその他の必要な防災情報を加えて、内水ハザードマップを作成し、住民等に周知することになっています。

一時的に大量の雨が発生し下水道等の排水施設に雨水を排除できなくなった場合、もしくは、放流先の河川の水位が上昇し下水道から河川等に雨水を排除できなくなった場合に、浸水が想定される区域や浸水深を示した地図を内水浸水想定区域図といいます。内水浸水想定区域図はさまざまな雨が対象となり作成されますが、内水浸水想定区域図のうち、想定最大規模降雨(およそ1,000年に1度の確率で発生するおそれのある大雨)を降らせる浸水シミュレーション用いて作成されたものを雨水出水浸水想定区域図といいます。

河川の堤防の決壊や河川からの溢水による浸水を対象とした洪水浸水想定区域図と比べて 内水浸水想定区域図(雨水出水浸水想定区域図)が対象とする浸水は浸水被害の発生頻度が高く、また、降り始めから浸水被害が発生するまでの時間が短いという特徴があり、毎年全国各地で内水氾濫による浸水被害が発生しています。雨水出水浸水想定区域図を作成・公表することで浸水被害が発生しやすい場所を特定し、浸水リスクの周知や避難計画への活用に役立てることが可能となります。

令和3年に水防法の改正が行われ、雨水出水浸水想定区域の指定範囲が拡大されました。従来は地下街などを含む特定地域(水位周知下水道)のみが雨水出水浸水想定区域の指定対象でしたが、近年の気候変動により内水氾濫の発生リスクが増大していることを受けて、住宅などの建物がある市街地も指定対象に含まれるようになりました。

内水浸水想定区域図(雨水出水浸水想定区域図)の必要性や作成方法に関する基本事項などは「内水浸水想定区域図作成マニュアル(案)」に定められています。また、洪水浸水想定区域図と同様に、想定最大規模降雨の設定方法は、「浸水想定(洪水、内水)の作成等のための想定最大外力の設定手法」に定められています。

[参考文献]
国土交通省水管理・国土保全局下水道部 2021 内水浸水想定区域図作成マニュアル(案)
国土交通省水管理・国土保全局(2015):浸水想定(洪水、内水)の作成等のための想定最大外力の設定手法

(2024年11月25日 初稿)

English

Map of Predicted Urban Flooding Area in the Event of Possible Maximum Rainfall

定義

雨水出水浸水想定区域図は、想定しうる最大規模の降雨によって下水道等の排水施設に雨水を排除できなくなった場合、もしくは、放流先の河川の水位が上昇し下水道から河川等に雨水を排除できなくなった場合に、その浸水範囲や浸水深などを示した地図です。