「単画像解析による変位モニタリング」は、固定設置したカメラで連続的に監視対象を撮影し、画像解析技術を用いて、斜面や構造物の変位・変状を検出するモニタリング手法です。
この手法の大きな特徴は、画像に映り込んだ地形が形状をほぼ保ったまま移動する際の「変位量」を検出できることに加え、崩壊などによって地形が大きく改変されて画像追跡ができなくなった領域を「地表面のかく乱の発生領域」(変状)として同時に検出できる点です。
本システムは、使用する機材が比較的安価で軽量であり、設置・撤去が簡単なため、即応性、機動性、柔軟性に優れて、斜面や構造物を高頻度かつ面的な監視を実現することが可能です。監視対象が危険な場合であっても、安全な場所にカメラを設置して遠隔監視できるため、設置やメンテナンス時の安全が確保され、安定的に観測を継続させることができます。
また、解析結果の精度を高めるため、解析プロセスにはさまざまな前処理技術が用いられます。例えば、刻々と変わる太陽の高度や方位による影の影響を緩和する「影緩和機能」や、短時間の画像ペアで発生するノイズ(風による植生の揺れなど)を除去する機能があります。
この技術は、のり面監視、地すべり監視、構造物監視、災害対応など幅広い分野で活用されています。GNSSや傾斜計などの他の観測機器と組み合わせて運用することにより、現地観測機器が設置しきれない範囲の包括的な監視機能としても効果を発揮します。
[参考文献]
・佐藤匠他:定点カメラによる斜面変動モニタリング.第68回2019年度砂防学会研究発表会概要集,pp.367-368
・佐藤匠:定点カメラによる斜面変動モニタリング.日本写真測量学会平成 30 年度秋季学術講演会発表論文集,pp.63-64
・佐藤匠他:定点カメラ画像解析による斜面崩壊予兆検出の試行.令和5年度土木学会全国大会第78回年次学術講演会講演概要集,pp.CS9-70
・佐藤匠他:定点カメラ画像解析による表層崩壊発生時の斜面変位検出.地すべり学会第63回(2024年度)研究発表会講演要旨集,pp.3-11
(2026年7月8日 初稿)