海中では、光波や電磁波などの陸上で使用される計測波が透過しにくいため、海底下の地層探査では、音響測深技術と同様に音波を使用します。探査方法は、調査船を移動させながら、水面付近で一定間隔に数KHz~数十Hzの周波数の音を発振し、周波数毎に海底で反射する音と、一部の地層を透過して音響インピーダンス(地層のP波速度×密度)境界面で反射する音を同時に受振・記録することによって、音の往復時間断面として海底地質の状況を測定します。
発振方式は、探査する地層に適した周波数帯を利用しますが、①浅海域での堆積層厚を探査するには、周波数(数KHz)が高い圧電電歪振動方式・磁歪振動方式、②浅海域から沿岸域での堆積層と基盤岩層を探査するには、周波数(1KHz~数百Hz)が比較的低い電磁誘導方式・水中放電方式・パラメトリック方式、③基盤岩層や岩層内の構造を探査するには、周波数(数百Hz~数十Hz)が低い圧縮空気方式などが用いられます。
また、受振方式には、発振部と受振部が一体化しているシングルチャンネル方式と、受振部が独立してストリーマーケーブルと言われる多素子受振システムを有したマルチチャンネル方式があります。特に、マルチチャンネル方式では、港内や航路の埋没状況調査や沿岸域の活断層調査など浅海域での調査から、石油やメタンハイドレートなどの海底資源探査など、外洋の地質構造探査まで広く利用されています。
(2015年11月18日 初稿)