土砂災害調査

我が国の面積は3,779万ha、その内山林面積は2,510万ha、約3分の2に上ります。中山間地の集落や都市郊外の住宅地はこれら山林と接しています。また、我が国の大部分は温暖湿潤気候帯に位置しており、年間平均降水量は1,700mm以上と世界平均の約2倍に相当します。近年では1回の雨で年間降水量に匹敵する豪雨が各地で頻繁に発生するようになり、土砂災害が多発傾向にあると言われています。

急激な土砂の移動は、下流の人家等に甚大な被害を及ぼします。記憶に新しい土砂災害としては、平成25(2013年)10月16日未明に東京都伊豆大島で台風26号に伴う豪雨で発生した土砂災害や、平成26年(2014年)8月19日夜から20日未明にかけての豪雨の際に発生した広島土砂災害が上げられます。伊豆大島の土砂災害では、死者行方不明者39人(大島町調べ平成26年3月1日現在)、広島土石流災害では、死者74人、重軽傷者44人に上りました(広島県災害対策本部9月19日16時発表)。

土砂災害調査では被害の拡大や二次災害を防止するために、何よりも緊急性が求められます。災害発生直後に速やかに空中写真撮影を実施し、撮影された写真を判読して崩壊が発生した場所や流れ出した土砂の範囲、被害の概要を把握します。次に、現地調査により土砂の発生原因となった崩壊地の大きさや深さ、崩壊残土の有無、渓流に堆積した土砂の深さなど土砂の移動状況、そして、住宅や道路などの被災状況を、測量ポールやメジャー、デジタル距離計等の計測機器を用いて把握します。

土砂災害発生状況判読例

土砂移動状況調査例(撮影者:鳥田)

住宅被災状況調査例(撮影者:江川)

(2015年02月20日 初稿)

English

Survey of sediment disaster

定義

土砂災害には、土石流、がけ崩れ、地すべりなどがあります。土砂災害調査は、これらの災害が発生したときに、その対策を検討するために緊急的に実施される調査です。調査では土砂の発生状況を調査し、生産(流出)された土砂の量を推定し、被害の状況を空中写真や現地調査によって把握します。その上で、被災地域の安全を確保するために必要な対策施設についての計画を検討します。