場所識別子

私たちは、実際に生活している実空間や、インターネットの中の仮想空間など、様々な空間内の場所と自分たちを関連づけて生活しています。例えば「私は今どこにいるか」と思った時に、スマートフォンに地図を表示させ、自分のいる場所を、スクリーンに表示させるでしょう。その時、スマートフォンの中ではGPS受信機が働いて、経緯度などの測地座標が求められ、インターネットを介して、サーバにその場所付近の地図を要求します。すると、サーバは測地座標を、URLに変換し、その場所のデータを取り出し、スマートフォンに送って、地図として表示させます。つまり、場所識別子は、例えば数学的な空間ではユークリッド座標、地理的な空間では測地座標、仮想空間ではURLなど、それぞれの空間における場所の識別に用いられる文字列の総称になります。
場所識別子は、ISO 19155で定義されています。この規格は日本がISO/TC211に提案し、検討が行われた結果、国際規格になりました。この規格は、同じ場所を指す場所識別子を対応付ける仕組みを規定しています。一方で、測地座標と平面直角座標を対応付ける方法は座標の換算ですが、その方法はISO19111(座標による空間参照)の中で示されています。座標と地理識別子(例:経緯度座標と住所)とを対応付ける方法は、ISO19112(地理識別子による空間参照)に示されています。ISO19155はこれらを含む概念的な対応付けの仕組みを示しています。この規格を使うと、例えば、地理識別子同士の対応付け(例:住所と建物名)、地理識別子とURLとの対応付けができるようになり、様々な場所識別子をつなげることでより柔軟に場所を識別することができるようになります。

参考文献
ISO 19155:2012 Geographic information -- Place Identifier (PI) architecture

(2019年08月14日 更新)
(2017年10月04日 初稿)

English

Place Identifier

定義

場所識別子とは、場所(place)を識別するための文字列(identifier)を指します。ここで「場所」とは、任意の空間の中の、識別可能な部分を指します。例えば、経緯度、地名、住所、そしてURL(Uniform Resource Locator)などは、地理空間や仮想空間内の場所識別子です。