地理識別子

私たちが待ち合わせなどで場所を特定するときには、店舗名や駅などの施設名称を用いるでしょう。また、道路や河川などの施設を管理するときにも、キロポストや距離標と呼ばれる、起点からの距離を表す標識を用いて場所を特定します。このような場所を識別できるラベルやコードを「地理識別子」といいます。

例えば、「東京タワー」といった建物の名称や、「東京都千代田区大手町1-1-1」といった住所、「100-0001」といった郵便番号などが地理識別子として挙げられます。しかし、「駅」や「城」のように一意に識別できないラベルやコードは、地理識別子とはいえません。

住所を入力して地図を表示させるなど、地理識別子を用いて地球上の位置を特定するには、その地理識別子が座標と対応付いていなければなりません。この地理識別子と座標の対応表は地名辞典と呼ばれます。

ここで、実世界における位置の記述を「空間参照」と呼びます。空間参照には、緯度経度などの座標による直接的な識別方法(「座標による空間参照」と呼びます)と、地理識別子による間接的な識別方法(「地理識別子による空間参照」と呼びます)の二通りの方法があります。私たちの日常生活では、数字の羅列である座標を意識する機会は少ないため、一見して分かりやすい建物の名称や住所などの地理識別子によって場所を識別する方が、より身近で一般的な識別方法となっています。

参考文献
日本工業標準調査会(平成19年):JIS X7112 地理情報―地理識別子による空間参照、pp2, 日本工業標準調査会
公益財団法人 日本測量調査技術協会:地理情報標準認定資格制度 中級技術者講習テキスト

(2017年01月16日 初稿)

English

Geographic Identifier

定義

場所を一意に識別できるラベルやコードを、地理識別子といいます。JIS X7112では、「場所の識別のための、ラベル又はコードの形式による空間参照。」と定義されています。