表層崩壊シミュレーション

表層崩壊は、斜面の表土層のみが崩れる現象をいいます。規模は小さいものの、狭い地域で同時多発的に発生する場合や、人家近くの斜面で発生した場合には深刻な被害を及ぼす場合もあるため、“いつ”、“どこで”発生するかをシミュレート(予測)することは重要です。

表層崩壊の予測手法としては種々のもが提案されていますが、ここでは代表的な事例(沖村ら,1985)を紹介します。まず事前準備として、数値地形データ(5~10mメッシュ)を作成し、各メッシュに表土層厚や、土の強度、透水性を表す物性値を設定します。次に降雨データをインプットして、雨水が地中に浸透し、地下水面を形成し、斜面下方に流出していく過程を計算します。さらに、斜面安定解析によって、地下水位の上昇に伴う単位体積重量の増加や、間隙水圧の上昇(有効応力の低下)に伴う安全率の変化をメッシュごとに計算し、例えば安全率が1を下回ったときに崩壊が発生すると判定します。

このような崩壊発生プロセスに基づく物理モデルは、近年増加傾向の“これまでに経験したことのない豪雨”に対しても“崩れる斜面”あるいは“崩れない斜面”を判定することが可能であるため、ますますその重要性が高まっていると言えます。また、ピンポイントで斜面崩壊等の危険度を予測できるため、これを活用することで、よりきめ細やかな警戒避難体制を実現し、行政の避難指示や住民の避難行動の支援に繋がることが期待されます。

参考文献
・沖村孝・市川龍平(1985):数値地形モデルを用いた表層崩壊危険度の予測法,土木学会論文集,第358号/Ⅲ-3

(2015年11月18日 初稿)

English

Simulation of collapse of shallow depth

定義

表層崩壊の発生位置及び発生時刻を予測するために、数値地形情報を用いて、表土層内の浸透水(降雨)が集まって斜面内で地下水位が形成される過程を計算するとともに、地下水位の上昇に伴い変化する斜面の安全率(危険度)を計算するものです。