超小型モビリティ

高度経済成長・バブル期を経たこれまでの日本の道路交通は、社会資本整備を進める中で、「大量に」「速く」の中で進められてきました。しかしながら、近年の日本における社会傾向は少子高齢化や環境への配慮、財政の制約が進む中、人の動きも多様化、個人化へと変化してきています。また、各種センサーや大容量蓄電池の小型化に伴い自動車の電気化が進み、新たな自動車が開発されてきています。
 このような状況の中、将来に向けて少人数で小回りの利いたモビリティ(移動体)への期待が高まり、わが国でも、小型モビリティの実用化に向けて実験を進めてきました。
 超小型モビリティは国土交通省認定制度によって、2人乗り車両(軽自動車黄色ナンバー)での実証実験での使用が2013年より使用可能となりました。現在は、社会実験としての箇所で使用されています。特に離島などの観光地では、狭い道路をゆっくりと景色を見ながら走ることで多くの評価を受けています。
 その一方、超小型モビリティに分類されない未来型で個性的な移動体も様々な進化が進んできています。1人乗り四輪車については、既に50cc(0.60kW)以下で第一種原動機付自転車(四輪)に分類されて、公道を走行することができ、短距離移動のための女性や高齢者の利用から、最近では都市部においてもビジネスマンの外回りの足としてスタイリッシュな活用がなされています。
 また、セグウエイに代表される立ち乗りで移動するっ車両は、「搭乗型移動支援ロボット」として、2015年より公道実験が可能となりました。現在、わが国では特殊車両と位置付けているため運転免許の保有義務などの制限が課せられています。しかしながら世界中の多くの国で公道使用が可能となっている状況からも、今後「歩行支援装置」として街中で見かけることになるかもしれません。
 現在、超小型モビリティをはじめとする新たな移動体は、実証実験を経て、走行位置による他の移動体との混在、車両の安全性などの課題を整理し、実用化されていくことになります。
このような身近で動きやすい乗り物は、環境負荷への影響、本格的少子高齢化社会の到来、市町村の財政の制約といった中で進められるコンパクトシティの実現に欠かせないものとなります。

参考文献
超小型モビリティの認定制度について(国土交通省)
「搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験」に係る取扱いについて (警察庁)
道路運送車両の保安基準、道路運送車両法施行規則等の一部改正等について(国土交通省自動車局)
その他:独自調査によるもの(SegweyJapan社、宮古島市、本部町、宗像市へのヒアリングによる)

(2017年10月4日 初稿)

English

small mobility

定義

「自動車に比べてコンパクトで小回りの利く1人~2人乗りを対象とした車両。(国土交通省定義)」
現在は、国土交通省認定による実証実験でしか利用することはできません。道路運送車両法では軽自動車の扱いとして黄色ナンバーとなっています。