地物

地物とは、現実の世界から、関心のある対象を選び、その特性を抽出し、単純化して説明する概念です。

地物には「河川」「山地」「森林」のような自然物や、「橋」「鉄道」「建築物」のような人工物だけでなく、「行政界」「バスルート」のような、現地に行っても目では確認できないものも含まれます。

地物は、型 (type) またはインスタンス (instance) として表現されます。同じ特性をもつものの集合を表す言葉を型といい、その集合に含まれるもの、つまり集合の要素をインスタンスといいます。

一般に型とは、クッキーの型のように、個別のものを作るときの基準を指します。実際に何かを見て「これは河川である」と言う場合は、「自然の水が集まり、陸地のくぼみを高いところから低いところに向かって水を流すもの」という基準を根拠として「河川である」と言っています。また「これは信濃川という河川である」という言い方は「目の前にあるものは河川の特性をもつ」と判断した上で、河川のインスタンスとして信濃川があることを示しています。これを言い換えれば、河川という地物集合の要素として「信濃川」がある、ということにもなります。

参考文献
[1]ISO19101-1 : 2014 Geographic information Reference model, 4.1.11
[2]日本産業標準調査会, JISX7109:2009 地理情報標準-応用スキーマのための規則, p3

(2021年09月17日 更新)
(2016年10月31日 初稿)

English

Feature

定義

地物とは、実世界の現象の抽象概念です[1][2]。地物には「集合」と「集合に含まれる要素」の二つの捉え方があります。文中などに単に「地物」と表現されている場合は、周辺の文脈によっていずれを指すか判断します。どちらかを明確にしたいときは、集合を指す場合には「地物型」、要素を指す場合には「地物インスタンス」と表現します。