横メルカトル図法

メルカトル図法が、赤道に接し、軸が地軸と一致する円筒を投影面とする正軸法であるに対し、横メルカトル図法は、任意の子午線(これを中央子午線と呼びます)に接し、軸が地軸と直交する円筒を投影面とする横軸法です。

メルカトル図法メルカトル図法と同様に正角図法です。また、中央子午線が投影面上で直線となり、かつその長さが正しく表されるという特徴があります。メルカトル図法による地図では赤道付近で面積・距離がほぼ正確に表現されるのに対し、横メルカトル図法では中央子午線付近で面積・距離がほぼ正確に表現されるので、南北に細長い地域を表現する地図に適しています。

この投影法では、中央子午線から離れると地形は拡大して投影されます。そこで、縦横の座標値に0.9999のような1より小さい一定の係数をかけると、あたかも円筒の直径が小さくなったように見え、中央子午線の近くでは座標の長さが縮小されますが、離れるにつれて次第に拡大され、投影範囲全体でひずみの大きさを小さくすることができます。この係数は縮尺係数と呼ばれます。

メルカトル図法には、地球を球とする図法と回転楕円体とする図法があります。前者の図法についてはランベルト(Johann Heinrich Lambert)が変換式を導入しました。後者の図法はガウス・クリューゲル(Gauss-Krüger)図法のことを指し、世界各国の大縮尺地図にもっともよく使われている図法です。日本の平面直角座標系にも用いられています。

ガウス・クリューゲル図法を利用し、地球全体を経度6度ごとのゾーンに分け、ゾーンごとの円筒面に南北緯度80度以内に限定して投影する図法を、ユニバーサル横メルカトル図法(UTM図法)と呼びます。UTM図法に基づく座標系に、UTM座標系があります。

(2020年08月17日 更新)
(2015年11月18日 初稿)

English

Transverse Mercator Projection

定義

横メルカトル図法は、地軸と円筒軸が直交する横軸円筒図法の一種です。正角図法ですが、画法幾何学的方法では経緯線を作図できません。