衛星測位

衛星測位には、大きく分けて2つの測位方式があります。1つは衛星測位本来の目的であるナビゲーションに用いる単独測位方式です。単独測位方式は4衛星以上からの電波信号を受信し、衛星から受信機までの距離と衛星の位置を用いて受信機の位置を求める手法です。この手法は擬似距離測距方式とも呼ばれ、測位概念は、波の伝播方向は逆ですが観測点(地震計)の位置が分かっていて地震波の到達時刻を用いる地震の震源決定と同じになります。特徴は、リアルタイムに、いつでもどこでも、航空機でも測位が可能ということです。精度は概ね数m~10mです。

もう1つは相対測位方式です。相対測位方式は1台を位置の分かっている点に、もう1台を位置の知りたい点に設置し同時観測を行い、衛星から受信機までの各種時計の誤差や伝播経路の影響等を低減するという考えからスタートしています。これも2つに分けられ、1つめはDGNSS(Differential GNSS)とも呼ばれ、位置の分かっている点での単独測位結果のずれを補正する等の方式です。精度は概ね1m~数mで、海上保安庁のビーコンがこの方式です。2つめは測量等に用いられる位相差(行路差)測定方式と呼ばれ、約20cmの波長の電波を用いかつVLBIの干渉測位方式の概念を利用することで、概ね1cm~数cmの高精度で位置を得る方式です。

特徴は、点間の視通が必要ない、観測者の技能の影響を受けない、天候に左右されにくい、長距離でも安定した精度などがあります。

(2015年11月18日 初稿)

English

GNSS(Global Navigation Satellite System)

定義

衛星測位は、専用の人工衛星(以下、「衛星」と略します。)を用いて地球上における位置を求める測位システムで、衛星、GNSS受信機(以下、「受信機」と略します。)、衛星を管理制御する地上局で構成されます。衛星から送信される電波信号を受信機で受信し、位置を求めます。現在、衛星測位システムには、GPS(米国)、GLONASS(ロシア)、GALILEO(EU)、BEIDO(中国)、IRNSS(インド)、QZSS(日本:準天頂衛星と呼ばれます。)などがあります。