砂防設計

砂防施設とは、流域からの有害な土砂の発生・流出を抑えるための土木構造物です。砂防施設の種類には、砂防堰堤、床固工、山腹工等があり、とくに砂防堰堤は土石流を捕捉する効果が高く、多数の土石流危険渓流に設置されています。床固工は河床の洗掘を防ぐための施設で、砂防堰堤に比べて高さは低く(一般に5m以下)、階段状に連続的に配置されることもあります。砂防設計は、これらの施設を設計する技術であり、その計画施設に必要な機能を満足する位置・型式・規模を決定し、また必要な性能を満足するために、施設に加わる力に対して安全な構造とします。

砂防堰堤が計画される山間地では、地形や地質が複雑なことが多く、収集した測量図等を持って現地踏査を行い、堆砂効率の良さ、崩壊地等の施工時災害要因の有無等に留意して堰堤位置を決めます。また、伊豆大島のような火山地域に多いのですが、谷の浸食がそれほど進行しておらず、尾根の発達が不十分な区間に砂防堰堤を配置する場合、両岸への取り付けが困難なため所要の高さの堰堤を配置できないこともあります。このような場合、低い高さの砂防堰堤を複数基配置する等の検討を行います。

近年、土砂災害が多発する我が国において、土砂災害危険箇所への砂防施設の新規整備はますます重要といえます。また、整備済みの砂防施設においても、老朽化が著しいものは従前の機能・性能を回復するための補修・補強が必要です。但し、これらの砂防施設の機能・性能は、基本的には設計基準に定められた計画規模を上回る土砂移動現象には対応していないので、砂防施設が設置されているから万全だとせず、警戒避難体制の強化等のソフト対策と合せて、地域の安全を守っていくことが重要だと考えられます。

平成16年7月の完成直前の様子

(2014年12月24日 初稿)

English

Erosion control design

定義

砂防設計では流域の特性を考慮しながら、耐久性・経済性・施工性・維持管理・環境への影響等の観点から、使用する工法・材質等を比較検討し最適な案を選定します。そして、設計計算等により合理的な形状・構造等を決定します。さらに、工事実施に必要な設計図を作成します。