立体地図表現とは、地図や地形図、コンピュータのモニタなどの平面図上で地形の起伏を立体的に感じられるように加工するための表現手法、または加工された表現図を指します。従来から地形図では崖や崩壊を表す地図記号や等高線などにより、地形の起伏を表現してきました。鉛直方向から光を当てた陰影図では、どの方向から見ても同様の立体感を持ち、色の濃淡は傾斜の急~緩に対応します。この配色で示した傾斜量図は、地形図上で標高を示す手法として用いられてきた等高線の疎密と同様の配色となり、従来の地図表現との整合を保った上で立体表現が可能となります。上空の開放度合いなどを示した地形量を傾斜量に加えることで立体感を強調することも可能ですが、実際には無い地形を表現してしまうこともあるため、微地形を解釈する際には注意が必要です。
立体地図表現を行なう表現手法の一つにELSAMAP(カラー標高傾斜図)があります。これは、局所的な起伏を示す傾斜量図をグレースケールで、大局的な起伏を示す標高をカラースケールで示し透過合成したものです。人間の目には暖色が前進色、寒色が後退色として映るため、大局的な起伏の表現にこれらを考慮することで、より立体的な表現が可能となります。
ELSAMAPをはじめ、航空レーザ計測などによって得られた高詳細な地形データを用いた立体地図表現図では、詳細な地形の起伏を直感的に捉えることができ、地形への理解を深めることに繋がります。
(2019年05月17日 更新)
(2015年11月18日 初稿)