津波・高潮シミュレーション

津波は地震断層の発生や海底地すべりなどが原因で海面が盛り上がる現象であり、高潮は台風や低気圧により海面の吸い上げや吹き寄せで海面が高くなる現象です。コンピュータを使って、これらの海面の変化が時間の経過とともに伝播していく様子を計算するのが津波・高潮シミュレーションです。津波・高潮シミュレーションは、過去に発生した津波・高潮災害を再現したり、今後発生する津波・高潮に伴いどのような被害が生じるかを予測したりするのに使われます。

2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波については、どのような地震が発生していたのかを研究したり、今後の復興計画をどのように進めるのが適切かを判断したりするために津波シミュレーションが多く実施されました。また、1959年(昭和34年)9月に発生した伊勢湾台風(および更に大きな室戸台風)が現在の首都圏に直撃したらどのような高潮災害が発生するのかを予測する高潮シミュレーションが国土交通省により実施された事例もあります。

津波・高潮シミュレーションを用いると、数値計算上で様々な地震や台風による災害を再現することができ、津波・高潮ハザードマップの作成や、防災対策計画の立案などに役立ちます。一方で、シミュレーション技術には限界があり、今後発生する津波・高潮を正確に予測できない可能性もあります。シミュレーションの限界を克服するために、計算機の高速化、並列化などによる計算時間の高速化や、入力する地形モデルの精緻化や観測結果を随時とりいれて計算に反映させる同化技術などにより予測精度の向上が図られていますが、シミュレーション結果を過信せずに適切に利用していく意識が必要です。

津波シミュレーション結果

高潮シミュレーション結果

(2014年12月29日 初稿)

English

Numerical Simulation of Tsunami or Storm Surge

定義

規模の大きな津波と高潮は、沿岸部に甚大な被害を及ぼします。津波・高潮シミュレーションは、津波・高潮の原因(地震断層の発生、台風の発生・発達・移動)による海面の変動が時間経過とともに伝播、遡上、浸水する様子をコンピュータで計算するものです。