原位置浄化は汚染土壌の掘削を伴わず、工法によっては建物が存在した状態でも適用可能であるため、操業中の工場等においても多く適用されています。また、掘削除去と比較すると一般的に経済的負担や環境負荷が小さいと言えます。一方、不均質な地盤内で汚染物質の分離・分解させる技術であるため、掘削除去と比べ不確実性が高く浄化達成までに長期間を要する場合もあります。このため、土地取引等で時間的制約のある場合には掘削除去が選択される事が多く、現在も浄化対策工事の半数以上を掘削除去が占めています。
しかしながら、掘削除去は健康リスクの観点からは過剰な対策であることが多く、施工主にとって過大な経済負担となる事が問題視されており、掘削除去への偏重を解消することも趣旨の一つとして平成22年には土壌汚染対策法が改正されるなど、リスク評価に基づき適切な対策手法を選択することが社会的な課題となっています。
以下に代表的工法を紹介します。
① 原位置化学分解:地盤へ薬剤(過酸化水素、鉄粉等)を添加し、化学的に特定有害物質を分解する工法。
② 原位置生物分解:地盤へ浄化微生物もしくは栄養剤を添加し、微生物の働きにより特定有害物質を分解する工法。
③ 土壌ガス吸引:ガス吸引装置により土壌中に含まれる特定有害物質をガス体として回収し浄化する方法。
④ 地下水揚水:地下水に溶け込んだ特定有害物質を地下水とともに汲み上げることにより回収し浄化する方法。
(2019年05月10日 更新)
(2015年11月18日 初稿)