「砂防堰堤」は、用語の定義で述べたとおり主に3つの機能があります。
1つ目は、土石流など上流から流れ出る有害な土砂を受け止め、受け止めたら終わりではなく、貯まった土砂を少しずつ流すことにより砂防堰堤の下流に流れる土砂の量を調節する調整機能です。また、砂防堰堤の上流側では、土砂が貯まることで河川の勾配が緩くなり、川幅も広がるため水の流れる速さも穏やかになります。
2つ目は、土石流が発生したとき、岩や流木等を含む土砂を止める捕捉機能です。もし、土石流等が発生しても砂防堰堤があれば、砂防堰堤より下流に土石流が流れ出ることを防止することができます。
3つ目は、河道の侵食等による土砂の発生を抑制する抑制機能です。砂防堰堤を建設することで河床が安定し、有害な土砂の発生を抑制することができます。※2※3
上記に示すとおり砂防堰堤は、主に3つの機能を有しており近年猛威を振るっている土砂災害から人々の命や暮らし、財産を守るために必要な構造物です。
砂防堰堤は、2022年現在全国に約95,000基以上建設されています。
砂防堰堤は、明治時代以前より石積の堰堤が作られてきました。現在の砂防堰堤の主な材料には、コンクリート、鋼材、現地で掘削した土砂を有効に処理できる土砂とセメントを混合したソイルセメント等があります。※5
また、砂防堰堤は、基本的にコンクリートで建設される人工構造物であるため、中には、景観対策を施している砂防堰堤もあります。対策としては、砂防堰堤の堤体全面に石を張ったり、丸太を敷き詰めたりして原風景を基調とした周囲に合った違和感のない砂防堰堤を築造する方法があります。※6
[参考文献]
※1:砂防用語集-社団法人砂防学会編
※2:砂防堰堤のはたらき-北陸地方整備局
「https://www.hrr.mlit.go.jp/kurobe/jigyo/sabo/yoku/yoku_hat.html」
※3:河川砂防技術基準-国土交通省水管理・国土保全局
※4:国土交通省砂防堰堤とは
「https://www.ktr.mlit.go.jp/nikko/nikko00005.html」
※5:砂防堰堤の材料の変遷について-公益社団法人砂防学会
「https://www.jsece.or.jp/event/conf/abstract/2008/pdf/2008PB021.pdf」
※6:砂防施設における景観対策について-公益社団法人砂防学会
「https://www.stc.or.jp/journal_sabo/pdf/art_122/122_05_Tech-note.pdf」
(2024年12月19日 初稿)