ストック重視の社会的背景のもと、公営住宅等の分野については、厳しい財政状況下において、更新期を迎えつつある老朽化した大量の公営住宅等の効率的かつ円滑な更新を行い、公営住宅等の需要に的確に対応することが自治体の課題となっています。公営住宅等の効率的かつ円滑な更新を実現する上では、点検の強化及び早期の管理・修繕により更新コストの縮減をめざし、公営住宅等長寿命化計画に基づく予防保全的管理、長寿命化に資する改善につなげていくことが重要です。
公営住宅等長寿命化計画の策定については、まず公営住宅等の状況の把握・整理と、計画期間の設定の設定を踏まえ、長寿命化に関する基本方針を設定します。次に、事業主体が管理する全ての公営住宅等について団地別・住棟別に状況把握を行い、公営住宅等の事業手法を選定し、点検・計画修繕・改善事業・建替事業のそれぞれについての実施方針を定めます。最後に、計画的な維持管理による効率的・効果的な長寿命化の取組を進めるためLCC (ライフサイクルコスト)とその縮減効果の算出を行います。
また、公営住宅等長寿命化計画の策定にあたっては、関係性の高い「住生活基本計画(全国計画)」、「インフラ長寿命化基本計画」、「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」、「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」、「社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会技術部会における提言」との整合を意識する必要があります。
参考文献
・公営住宅等長寿命化計画策定指針(改定)平成28年8月 国土交通省住宅局 住宅総合整備課
・公営住宅等ストック総合改善事業対象要綱 平成17年8月1日 国住備第38-3号 国住局長通知 (最終改訂:平成28年5月15日 国住備第47号)
・公営住宅法
(2017年9月29日 初稿)