「地域新電力」とは、エネルギーの地産地消を行うモデルの1つです。
ある特定の地域に小売電気会社を設立し、“地域内にある再生可能エネルギーの電気を、その会社が調達、地域内の需要家に供給する”ことで、地域内のエネルギー循環を行うことを目的とします。
本モデルの特長は、多様な選択肢があることです。
①誰を参画者とし(行政、地元企業、住民等)、②どのような方針で(供給先、電源構成等)、③どのような効果を生み出すのか(経済効果、低炭素化社会推進、環境意識の向上等)を地域全体で決定することができるため、一言で「地域新電力」といっても地域の数だけ形態があり、参画者の意向を十分に反映させることができます。
加えて、「自立分散型エネルギー」の1つでもある地域新電力は、エネルギーセキュリティの観点でも有効的手法といえます。
一方で、電源調達の方針、需給管理、経済性の確保といった課題が残されています。また国内での認知度の低さも課題の1つです。欧米、特にドイツでは地域新電力と仕組みが類似するシュタットベルケという地域公社が発展し、その数は900を超えますが、日本の地域新電力は68社程度に留まっています。
現在、電気とガスのセット販売、熱とともに供給する熱電供給といった新たな供給方法も考案されています。今後は、需要家がより多様な選択肢を得られるようモデル展開していくとともに、地域活性化への貢献も期待されています。
参考文献
経済産業省 資源エネルギー庁HP「電気事業制度の概要」
経済産業省 資源エネルギー庁「電力システム改革の現状と課題」
(2017年12月04日 初稿)