統合型GISは、共用空間データの体系的な整備・管理と、共用空間データをベースとしたデータ共用の仕組みを構築することにより、行政事務の効率化・高度化、住民サービスの向上を図るものです。
共用空間データの整備・管理では、これまで行政の各部署でばらばらに整備されていた地図情報のうち、共用できる地図情報(例えば、道路、建物、河川、街区、行政区域、空中写真等)を明確化し、共用空間データとして行政全体で一体的に整備・維持管理を行うことにより、重複整備を防ぎ、データ作成費用の削減を図ります(図1)。また、これまで各部署でばらばらに整備されていたために生じていた、位置ずれ等のデータ間の不整合も、行政全体で一体的に整備・維持管理を行うことにより解消します。
データ共用の仕組みの構築では、GIS(地理情報システム)を活用して、共用空間データをベースに、各部署が保有する様々な地図情報を共用できる環境を構築します。この際には、データの互換性を担保し、異なるシステム間でもデータ共用を可能とすることが重要です。
GISを活用したデータ共用の仕組みを構築することにより、行政全体の情報共有の促進を図ることができます。また、各部署の地図情報を組み合せた、より高度な情報分析・政策立案ができるようになります。例えば、防災部署において避難施設の設置を検討する際に、これまでのように自部署で保有する津波浸水想定区域や土砂災害警戒区域等のハザード情報だけで検討するのではなく、他部署が保有する高齢者や要援護者の分布状況、各種統計情報、周辺の道路情報等の関係情報も地図上で組み合せて、総合的な視点から検討することができます。
参考文献
・財団法人自治総合センター(平成10年3月):地理情報システム(GIS)に関する調査研究報告書(最終閲覧日 2023年2月11日)
https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1997/00553/mokuji.htm
(2018年12月17日 更新)
(2015年11月18日 初稿)