AR(拡張現実)
ARは、主に軍事産業や自動車・航空機製造産業で活用されてきましたが、近年スマートフォン、タブレットなどのスマートデバイスの急速な普及により、アプリを介し一般消費者にも利用できるサービスが増えてきました。ARは 「1.ロケーションベース(位置情報)型」と 「2.ビジョンベース型」の大きく2つに分類されます。
「ロケーションベース型」のARは、GPSや屋内測位などから取得した位置情報と連動したARです。例えば、空港施設で搭乗口まで3次元矢印で案内するものや、屋外でスマートフォンをかざすと周辺の観光スポットがカメラ映像上に表示されるものです。
「ロケーションベース型」に対して「ビジョンベース型」のARは、コンピュータビジョンの技術を用いて、マーカーや空間の特徴点を認識して情報を表示させるものです。例えば、スマートフォンを用いて、ポスター、雑誌、新聞など、狭い範囲にピンポイントで情報を表示させたい場合の利用に向いています。
今後、メガネ型端末等のスマートデバイスや屋内測位技術の普及に伴い、活用シーンは増々広がりをみせています。国内では、人口減少が進展し、熟練技術者の数も減少するなか、少人数でも効率的な作業を実現する策が求められています。
例えば、メガネ型端末のメリットである両手が自由に動かせる利点とARを組合せると、現場作業者の見ている映像を本部の熟練技術者が遠隔で確認することができます。熟練技術者が作業者に対して具体的な指示をARにより伝えることで、円滑なコミュニケーションが可能になります。このほか、プラント施設でのバルブの開閉作業や物流倉庫での荷物の仕分け等、作業者支援などの分野での更なる活用が期待されます。
(2015年02月09日 初稿)