雪崩調査は大きく3種類に分けられると言えます。実際に雪崩が起こったあとに、規模や被害状況、発生メカニズムなどを調査する実態調査、過去に雪崩による被害がもたらされた地域や雪崩の危険性が予測される地域を対象に、危険箇所の把握を行なう危険箇所調査、雪崩の危険箇所を対象に対策を立案する対策調査の3つです。
実態調査や危険箇所調査では、実際に現地に赴き状況を把握することも重要ですが、雪崩の発生した直後では雪により行動が制限される上に、山岳地帯では更なる雪崩の危険性が伴います。時間を置いて春になると融雪により雪崩の痕跡が姿を消してしまうといった理由もあり、実態を把握することさえも困難なことが多くあります。そのため、空からの調査は有効であり、これまでも空中写真による空からの調査が多く行なわれてきました。
対策調査では、構造物によるハード対策のための調査が古くから行なわれてきましたが、避難や通行規制につながる調査の需要が今後高まっていくと考えられます。
雪は、氷から水へとその形態を容易に変化させる上に、形態により振る舞いが大きく異なるため、その予測は困難を伴うことも多いですが、これまでの雪崩調査に、航空レーザ計測や人工衛星によるリモートセンシングなどの新たな計測技術から得られるデータを付加することで、雪崩調査技術の進展が図られることが期待されています。
(2015年11月18日 初稿)