従来の電力系統では、太陽光や風力のような不安定電源からの需給に対して、火力発電などの安定電源の出力を調整して需給バランスを安定化させています。VPPは図1に示すようなアグリゲーターと呼ばれる機関を中心に、需要家側の電力需要と、発電・小売・送電事業者等の電力供給情報を集約し、効率的にエネルギーマネージメントを行なうことができ、エネルギーの地産池消という観点でも分散エネルギーの可能性を拡大するものと考えられます。
VPPのメリットは、小規模で分散されている発電施設でも、IoT技術により電力網の需給バランスの最適化が可能になる上、パーチャルな電力会社のため、大きな施設を必要とせず設備投資が小さく済む事と余剰電力が有効利用されることです。しかしその反面、アグリゲーターを電力会社と考えた場合は、一般の電力会社のように多数の従業員を必要としないため、雇用による地域貢献度は小さいというデメリットがあります。またVPPの特徴として、アグリゲーターに情報が集約されているため、需要量と供給量がリアルタイムで見える化しやすく、需要家の積極的な節電への関与かが可能となり、デマンドレスポンス(需要家側が行なう節電)により、ネガワット取引(節約できた発電量に対しての報奨金制度等)が活用されやすく、ピーク時の電力需要と供給可能量のバランスがとりやすくなると考えられます。
参考文献
平成28年度エネルギー白書:資源エネルギー庁
(2017年10月4日 初稿)