土砂災害防止法

土砂災害防止法は、平成11年6月に広島市、呉市を襲った集中豪雨により山裾の新興住宅群が甚大な被害を受けたことをきっかけとして制定されました。
これまでの土砂災害対策事業は、砂防三法(砂防法、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、地すべり防止法)のもと、災害の原因地に対して対策工事を行うハード対策が中心でした。しかし、住宅等の新規立地によって増加した危険箇所のすべてをハード対策で賄うには膨大な時間と費用を要すことから、この法律では土砂災害の被害を受ける区域に着目し、その区域において警戒避難体制、立地抑制策を主とするソフト対策を充実させていくことで、国民の生命および身体の安全を守ることを目的としています(全国治水砂防協会、2025)。
具体的には、同法で定める「土砂災害防止対策基本指針」に基づき、都道府県が基礎調査(砂防基礎調査)を実施し、土砂災害警戒区域等の指定を行います。土砂災害特別警戒区域(通称レッドゾーン)に指定された場合、その土地に対して特定開発行為の制限、建築物の構造規制、既存住宅の移転促進などの対策が講じられます。また、土砂災害警戒区域(通称イエローゾーン)に指定された範囲に対して、市町村は警戒避難体制の整備を行う必要があります(国土交通省)。
そのほか、土砂災害警戒情報の周知や、河道閉塞または火山噴火などに伴う重大な土砂災害の危険が予想される場合の緊急調査および土砂災害緊急情報についても法律で定められています(全国治水砂防協会、2025)。

[参考文献]
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律
国土交通省:土砂災害防止法の概要,https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/linksinpou.html,2025/11/11
一般社団法人 全国治水砂防協会(2025):改定4版 土砂災害防止法令の解説,pp.3-33,一般社団法人 全国治水砂防協会

(2026年4月14日 初稿)

English

Act on Sediment Disaster Countermeasures for Sediment Disaster Prone Areas

定義

土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)は、土砂災害のおそれのある区域の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、住宅の移転促進等のソフト対策の推進を目的に、平成13年4月1日に施行された法律です。