マイ・タイムラインは、平成27年9月関東・東北豪雨における避難の遅れや避難者の孤立の発生を受けて、国、茨城県、鬼怒川・小貝川沿川市町で構成される「鬼怒川・小貝川下流域大規模氾濫に関する減災対策協議会」の枠組みの中で、住民一人ひとりの単位において、水防災に関する知識と心構えを共有し、事前の計画等の充実を促すためのツールとして検討、作成したことが始まりとされています。
マイ・タイムラインの検討過程では、認識しておくことが必要な水害リスクや防災情報等(ハザードマップの確認や地域で過去に発生した災害事例の学習など)を住民一人ひとりが「知る」ことから始まり、高齢者やペット連れでの避難、深夜の避難など避難行動に向けた課題に「気づく」ことを促し、どのように行動するかを「考える」場面を創出することが重要です。さらに、他者の意見等を参考に自分自身に置き換えて「気づく」こともあるため、ワークショップ形式による検討を推奨しています。1)
国をはじめとした防災関係機関では、事前防災行動計画(タイムライン)を策定しており、タイムラインの考え方は、我が国における台風や降雨による河川氾濫に対して有効なソフト施策と考えられています。これを個人や家庭レベルに応用したものが「マイ・タイムライン」であり、自分や家族の避難行動を具体的に計画することで、災害時の円滑な避難を可能にします。
現在、多くの住民がスマートフォン等のデジタル機器を有していることを受け、令和3年度より「デジタル・マイ・タイムライン」の開発を官民連携で実施しています。マイ・タイムラインをデジタル化することで、プッシュ通知により自分自身や家族等に対して避難行動を促すこと等が可能となります。2)
[参考文献]
1)「マイ・タイムラインガイド【Ver1.0】」(令和2年6月)マイ・タイムライン実線ポイントブック検討会
2)「「デジタル・マイ・タイムライン」の手引き(案)」(令和5年7月)国土交通省 水管理・国土保全局 河川計画課 河川情報企画室
(2025年2月13日 初稿)