自然災害による被害を軽減するためには、堤防等のインフラの整備や防災まちづくりによる予防対策が重要ですが、施設整備が完了するまでに相当な時間を要するとともに、施設が完成したとしても施設の機能を上回る災害が発生した場合、堤防からの越水や決壊等により被害が発生する可能性があるため、施設だけでは防ぎきれない災害は必ず発生するとの考えに立ち、備えていくことが重要です。
例えば、米国では、ハリケーンによる高潮災害に備え、ハリケーンの進行状況に応じて、人々がどのような対応を行うかを定めており、被害を最小限にする工夫をしています。
近年、2012年の米国のハリケーン・サンディや2013年の伊豆大島での風水害等、巨大台風に伴う災害が頻発しており、国土交通省では、国土交通省・水災害に関する防災・減災対策本部とそのワーキング組織を設置し、タイムラインの導入を図っています。タイムラインの導入によって、先を見越した早めの行動が可能であり、関係機関の間で顔の見える関係を構築しつつ、各機関の責任の明確化や防災行動の抜けや漏れ等の防止が図られます。
平成27年9月の関東・東北豪雨災害を踏まえて取り組まれている「水防災意識社会再構築ビジョン」においては、住民目線のソフト対策の充実に取り組んでおり、その中でも河川管理者や各自治体が連携して、住民の迅速な避難行動を行うためのタイムラインの作成に取り組んでいます。
参考文献
「タイムライン(防災行動計画)策定・活用指針(初版) 」(平成28年8月)国土交通省 水災害に関する防災・減災対策本部 防災行動計画ワーキング・グループ
(2016年10月26日 初稿)