熱画像は、赤外線放射エネルギーを見かけの温度に変換した画像で、熱画像から目的に合致する領域や状態とそれ以外を区分したり、対象物の温度分布状況を把握することを「熱画像判読技術」と位置付けています。例えば、リモートセンシングによる都市熱環境把握においては、地域の温度分布特性を把握すること、コンクリート構造物の劣化診断においては、熱画像で把握される温度分布に基づき、変状部と健全部に区分することです。
とくに利用される機会の多い衛星リモートセンシングでは、地表面や海面の温度計測、火山の監視や雲・水蒸気等の気象観測において、広域を対象とした概略的な温度分布状況を把握する際に利用されています(図1)。また、地上レベルのリモートセンシングでは、ごく狭い範囲を対象とした温度分布状況を把握する際に利用され、コンクリート構造物や吹き付けのり面等の土木構造物の変状調査などに活用されています(図2)。
近年、地球温暖化をはじめとした熱環境の変化は生活環境においても問題となっていて、ヒートアイランド現象は最も身近な課題の一つとなっています。また、社会インフラの維持管理も社会的な課題となっていて、とくにコンクリート構造物の劣化診断が重要です。これらの課題を解決するための一つの方法として熱画像によって温度分布を調査し、その分布特性から上記の各種状況を把握しています。このために利用されている方法が熱画像判読技術であり、活用される場面が増えて来ています。
(2019年05月15日 更新)
(2015年11月18日 初稿)