現在の火山観測技術では、噴火の時期、場所、規模、推移等を正確に予測することは困難です。
また、火山噴火により生じる現象は多様であり、火山毎、噴火イベント毎に発生する現象が異なるケースもあります。
一方で、恒久対策による施設の整備には、通常、長い期間と多大な費用が必要となります。
さらに、過去の噴火発生時の対応から、緊急時に対策用地や資機材の確保に時間を要したことや、想定とは異なる現象の発生により対策が後手に回った、等の課題が挙げられています。
このため、恒久対策とは別に、緊急的なハード対策やソフト対策を整理し、これに基づき平常時からの準備を行うことで、噴火時の対応を迅速かつ効率的に実施することで被害を減災することが重要と考えられています。
国土交通省砂防部は、「火山噴火緊急減災対策砂防計画策定ガイドライン」を平成19年4月に取りまとめています。
同ガイドラインでは、緊急時に実施する対策として、緊急ハード対策の施工、火山監視機器の緊急整備、リアルタイムハザードマップによる危険区域の想定、情報通信網の緊急整備等が挙げられる一方で、平常時からの準備事項として資機材の備蓄、火山防災ステーション機能の強化、関係機関との連携協力体制の構築等が挙げられています。
なお、同ガイドラインでは、緊急対策、平常時準備事項を取りまとめて火山噴火緊急減災対策砂防計画を策定するための検討項目や留意点が示されています。
参考文献
国土交通省砂防部(2007):火山噴火緊急減災対策砂防計画策定ガイドライン
(2016年10月21日 初稿)