深層崩壊対策

深層崩壊とは、山崩れ・崖崩れなどの斜面崩壊のうち、山腹斜面の地下深くまで崩壊するもので、その面積が約1ha以上になるものです。深層崩壊は、地震によるものと豪雨によるものがあります。近年の異常な大雨の増加や、南海トラフ地震が近い将来に予測されていることから、深層崩壊の発生が増加する可能性があり、対策の必要性が高まっています。

深層崩壊による被害は、崩壊した土砂が直接土石流化し民家を襲うケースや、崩壊した土砂が天然ダム(河道閉塞)をつくり湛水や決壊によって被害を拡大するケースがあります。平成16年新潟県中越地震では、深層崩壊の多発により天然ダムが数多く形成されました。大きなものは高さ30m以上で、多量の水を貯めこみ上流の集落を水没させるとともに、決壊による下流の洪水氾濫が心配されました。そのため事後対策として、ポンプや水路設置により上流に貯まった水の水位を下げるとともに、決壊による洪水氾濫の危険がある範囲では、住民の避難が行われました。その後、天然ダムのすぐ下流に砂防えん堤を設置して天然ダムを固定することで決壊の危険をなくしました。

近年は深層崩壊のメカニズムについて研究が進んだことで、危険な場所をある程度予測できるようになってきました。危険な場所の予測には、空中写真や航空レーザ計測による詳細な地形データが活用され、予兆にあたる亀裂などの異常な地形が多い場所が危険とされています。深層崩壊の発生を防ぐことは困難ですが、このような危険な場所の予測結果に基づき、砂防えん堤の設置や、危機管理計画の立案、日頃からの防災訓練などの事前対策によって減災のための様々な取組が進められています。

(2014年12月16日 初稿)

English

Measures against deep landslide

定義

大規模かつ社会的に影響の大きい深層崩壊に対して、発生の恐れのある場所やタイミングの予測による事前(予防)対策と、天然ダムの形成や決壊などの二次的な現象を含めた事後(対処)対策により被害を回避します。