多発する地震災害や土砂災害などの影響を受け、近年地盤情報の閲覧や利活用のニーズが高まっています。地震による揺れの大きさを推定する場合や、液状化が起きるかどうかを判定する際に地質情報は不可欠です。特に地層の分布を表した地質図や、地質分布を直接確認しているボーリングデータは重要な情報です。これら情報がデジタルデータ化されデータベースで管理されていると、解析が容易に行えるほか、整備された情報量が増えるとより精度の良い解析が行えるようになります。
このように解析・取りまとめた結果は、「揺れやすさマップ」や「液状化危険度マップ」など、安全・安心な暮らしの情報として欠かせない「ハザード情報(ハザードマップ)」として公開され、災害リスク低減のために活用されています。また、災害が発生した際の復旧・復興事業を行う際にも地質情報は欠かせないものとなっており、熊本地震(2016年)では、国、県、区市町村等がそれぞれ保管・管理しているボーリングデータを集約し一括して管理・公開しており、復旧作業等に役立てられています。
この他にもインフラ整備など様々な場面で地質情報は必要とされますが、様々な機関が保有する情報の一括した管理やデータ化がされていない場合も多く、まだまだ有効に活用されているとは言えません。このため、様々な機関が保有する情報が集約され容易に利活用できる環境を整備する事が今後重要となります。
近年では、利活用ニーズや住民の関心が高まり、ボーリングデータや地質図をデジタル化・データベース化し、公開する動きが広まってきました。ボーリングデータについては、国をはじめ30余りの行政機関で公開されており、20万本以上のデータが閲覧できます。これら公開されている地質情報にはそれぞれ利用条件が定められているため、データ利用規約等に定められた範囲で利活用する必要があります。
(2016年11月04日 初稿)