軟弱な粘土地盤上に盛土する場合、その荷重によって地盤中の水や空気が抜け、土の体積が収縮します。このような地盤の収縮を圧密現象と言い、圧密によって生じる地盤沈下を圧密沈下と言います。ちょうど水分を多く含む野菜が、漬物石の荷重を受けて徐々に水が絞り出され、収縮して漬物になるようなものです。
粘土はほとんど水を通さないため、地盤中の水が排出されるのに長い時間がかかるという特徴があり、そのような地盤に荷重が加わると、地盤の収縮(沈下)もゆっくり進行します。沈下に必要な時間は、同じ荷重であっても地盤の種類や性質、軟弱地盤の厚さによって異なります。盛土してから地盤沈下が数年間、長い場合は数十年継続することもあります。
また、地層の傾斜などにより軟弱地盤の厚さが一様でなかったり、軟弱地盤上の盛土や建物の荷重が偏ったりしていると、場所によって沈下量が異なる現象(不同沈下)が発生することもあり、特に建物の場合は傾くなど被害が大きくなります。
そのため、事前にボーリング調査や室内試験等を行い、圧密の特性(沈下する厚さ、沈下する速度など)を把握しておくことが重要です。これにより、地盤沈下量や沈下が収まる時間を推定することができ、対策の必要性や具体的な対策方法を検討することが可能になります。対策の例としては、「地中に水が抜け易い材料(砂や紙等)で杭を造り沈下を促す」ものや、「軟弱な地盤の土にセメント材を混ぜて地盤を固くして沈下を防ぐ」ものなどがあります。
(2016年11月2日 初稿)