ごみの減量化・資源化を図った後に発生する可燃ごみは、従来は各市町村のごみ焼却施設で処理されていましたが、ダイオキシン類問題に端を発したごみ処理広域化により、一部の離島等を除いてごみ焼却施設は大型化しています。また、温室効果ガスの削減は世界的規模で求められています。
そこで、新たに建設するごみ焼却施設では、温室効果ガスの更なる削減に向け、焼却処理する際に発生する余熱を今まで以上に積極的に回収し、熱を蒸気に変換して蒸気タービンで発電するほか、温水を温浴施設等(風呂やプール)で利用することが求められることとなりました。また、バイオガス化施設では、生ごみ等のバイオ系廃棄物から高効率でメタンガスを回収し、発電や熱利用を図ることとなりました。
エネルギー回収型廃棄物処理施設のごみ焼却施設では、東日本大震災の経験を踏まえ施設の強靭化、災害廃棄物の処理が可能な施設であり、大規模災害時にも稼動を確保し、地域の防災拠点として電力供給や熱供給等の役割を果たすこと求められています。
市町村がエネルギー回収型廃棄物処理施設として、循環型社会形成推進交付金を受ける際は、以下の条件をクリアーする必要があります。
・ごみ焼却処理施設:①エネルギー回収率24.5%相当以上(規模により異なる)、②災害廃棄物の受け入れに必要な設備を備えること、③一般廃棄物焼却施設における一般廃棄物処理量当たりの二酸化炭素排出量の目安に適合するよう努めること、④施設の長寿命化のための施設保全計画を策定すること、⑤ごみ処理の広域化に伴い、既存施設の削減が見込まれること
・バイオガス化施設:①メタンガス化施設からの熱利用率350kWh/ごみton以上、②施設の長寿命化のための施設保全計画を策定すること
エネルギー回収型廃棄物施設は、ごみ処理だけでなく、ごみからエネルギーを回収する市町村の発電プラント・熱供給プラントと考えられます。
参考文献
エネルギー回収型廃棄物処理施設整備マニュアル 環境省(2014年3月(2016年3月改定))
(2019年05月08日 更新)
(2017年02月01日 初稿)