日本は世界有数の地震国であり、これまで多くの人命や財産が地震により失われてきました。特に平成7年阪神・淡路大震災では、地震による死者数の約9割が建築物や家具の倒壊による圧迫死で、昭和56年以前に建築された耐震性が不十分な建築物に多くの被害が見られました。
地震による死者や経済被害を減らす対策として、建築物を耐震化し倒壊等の被害を防止することが重要となっています。
そこで国は「東海、東南海・南海地震に関する地震防災戦略(平成17年3月中央防災会議)」において、10年後に死者数や経済被害を被害想定から半減させることを目標とし、住宅については「新成長戦略(平成22年閣議決定)」、「住生活基本計画(平成23年3月閣議決定)」、「日本再生戦略(平成24年7月閣議決定)」において平成32年までに耐震化率を95%にすることを目標としました。
これを受け、都道府県では耐震改修促進計画の策定が義務づけられ、市町村においても策定の努力義務が規定されています。
平成26年4月1日時点での計画策定状況は都道府県が100%、市区町村では約95%となっています。
耐震改修促進計画では住宅、不特定多数の人や避難弱者が利用する一定規模以上の建築物、防災上重要な建築物、一定量以上の危険物を貯蔵している建築物、避難路沿道にあり倒壊すると通行の障害となる建築物の耐震状況を把握し、各建築物の耐震化の目標を設定します。
そして目標を達成するために、耐震の普及啓発や耐震改修に関する支援・助成、地震時の安全対策等について定めます。
また、不特定多数の者や避難弱者が利用する建築物と一定量以上の危険物を貯蔵している建築物のうち特に大規模なもの、特に重要となる緊急輸送道路沿道の一定の高さ以上の建築物、防災拠点である建築物については、耐震診断と診断結果の報告が義務づけられています。
(2014年12月19日 初稿)