VRは、コンピュータが作り出す環境として「対象者にとって自然な三次元空間であること、対象者がその世界に働きかけることができること、その世界が対象者の位置や動きに反応できること(舘、2004)。」の3つの要素を満たしていることが必要とされています。
VRによって、現実に存在しない世界、例えばファンタジーの世界や過去・未来などの世界や、存在していても実際には見ることが困難なミクロ・マクロ・危険・遠隔などの異世界を人工的に作り出し、あたかもそれを目の当たりにしているかのような疑似体験をすることが可能になります。
VRは様々な分野で活用・研究が進んでいます。
例えばゲームの分野では、視界を覆うヘッドセットや音響効果を与えるためのヘッドホン、手の感覚を認識するグローブ、体の動きの感知やゲーム内で起こった衝撃の伝達をする衣服等を装着することで、ゲームの世界がまるで現実世界であるかのように全身で体験することができます。
また、医療分野では「認知行動療法として高所恐怖症などを持つ患者に対して、VRによって感情をコントロールする方法の指導(宮ら、2012)。」や教育や観光分野では「様々な職業のトレーニングやバーチャル校外学習、観光のプロモーションのためにVRを用いて観光の疑似体験(Carson、2015)。」にも活用されています。
CGを使って仮想の世界を体験できるものとして、VRの他にもAR(Augmented Reality:拡張現実)やMR(Mixed Reality:複合現実)といった技術もあります。
参考文献
・舘暲(2004):文部科学省 第3章 文化資源の公開と利用 ―人口現実感―, 引用日2015年9月25日
・宮ら(2012): 高所恐怖症克服支援を目的とする簡易な背面投影ドームスクリーンVR システムの試作, Journal of Life Support Engineering Vol. 24 (2012) No. 4 p. 194-200 引用日2015年9月25日
・Erin Carson/石橋啓一郎:訳:仮想現実はゲームだけではない—VRを活用する9つの業界(2015/3/25) 引用日2015年7月3日
(2020年12月14日 更新)
(2015年11月16日 初稿)