バイオマス発電では、光合成によって二酸化炭素を取りこみ、植物の体内に固定した炭素を燃料として利用します。そのため、燃焼時に発生する二酸化炭素は、再び植物に吸収・固定されることで、生物のライフサイクルにおいては二酸化炭素は追加的に発生しない「カーボン・ニュートラル」という特性を有しています。また、従来廃棄されていた間伐材や食品廃棄物等を資源として利用することで、循環型社会の構築や地域が抱える課題の解決等に寄与することができます。
発電方式には、直接燃焼、メタン発酵や熱分解によるガス化などがありますが、直接燃焼の場合、出力調整が可能であるためベース電源として位置づけることが可能です。さらに燃焼によって排出された熱を再利用することでエネルギーの利用効率を向上させることができます。
バイオマス資源の安定的・持続的な調達は、安定的な稼動のために欠かせない要素です。資源を効果的に収集し、供給する仕組みの確立が必要です。また、中山間地の地域エネルギーとして小規模バイオマスに期待が集まっていますが、日本ではまだ事例が少なく、技術の成熟化とコスト軽減が今後の課題となっています。
バイオマス発電は、再生可能エネルギーによる電力供給の推進に効果を発揮する上、資源供給による農山漁村の活性化や、地域におけるエネルギーセキュリティの向上など、多方面での波及効果をもたらす発電方法として期待されています。
参考文献
・バイオマス活用ハンドブック 一般社団法人日本有機資源協会編著(2013年4月)
・バイオマスエネルギー導入ガイドブック(第4版) NEDO(2015年9月)
(2015年11月18日 初稿)