底生生物調査

底生生物調査の対象である底生生物はベントス(Benthos)とも呼ばれますが、移動能力が小さいことが特徴で、生息する種や個体数は、生息場の水質や底質環境に大きな影響を受けます。このことから、底生生物調査は、長期的な底質環境の変化や構造物設置・浚渫などの環境改変の影響の把握を目的として実施されます。

表1は、底生生物を大きさにより4つに区分し、代表的な生物を示したものです。

表1 底生生物の大きさによる区分

調査では、大きさごとに異なる方法で、採取し同定します。
ミクロベントスは大量に生息するため、顕微鏡下で採取した底質を観察して同定します。
メイオベントスやマクロベントスは、採泥器により底質を採取し、ふるいにかけて、ふるい上に残った生物を選別して、目視で同定します。
メガロベントスは、底曳網等の魚網で採取し、目視で同定します。
ただし、上記は底質が砂やシルトなどの堆積物の場合に有効な方法で、岩盤などに付着して生息する底生生物については、潜水士が直接採取します。

同定結果は、国や都道府県が貴重な生物として選定している種、清冽な環境に生息する種、有機汚濁の進行した環境に生息する種など、指標となる種の分布状況を調べます。これらの結果より、底質環境の特性を評価します。また、確認された種の数や、その個体数から、底生生物間の多様性を算出し、群衆構造からみた生息環境を評価します。

(2023年01月19日 更新)
(2015年11月18日 初稿)

English

Benthos Survey

定義

底生生物調査は、底質環境の変化を知ることなどを目的として、底生生物の生息状況を調べるものです。