地すべり対策工(抑制工・抑止工)

地すべり対策工は大別して抑制工と抑止工に分類されます。

抑制工とは地すべり箇所の地形、地下水状態などの自然条件を変化させて地すべり活動を停止または緩和させる工法です。一方、抑止工とは地すべり箇所に構造物を設けることによって構造物の持つ地すべりに抵抗する強い力を利用して地すべりの活動の一部または全部を停止させるものです。

一般に抑制工には水の排除を目的として地すべり地内への地表水の流入防止を図る「地表水排除工」、地下水位の低下を図る「地下水排除工」と、地形を変えることで地すべりの移動を抑えることを目的とする「押え盛土工」、「頭部排土工」があります。抑止工には、地すべり土塊内に鋼管や鉄筋コンクリート杭を挿入し、地すべり活動に抵抗する「杭工」や地すべり土塊内にワイヤー状の鋼材を挿入するグラウンドアンカー工があります。

実際に地すべり対策工を行う際には、地すべりの発生する原因を調査し、最も効果的な対策工を一つまたは組合せで採用します。また、地すべり対策工の効果は「安全率(Fs)」という指標を用いることが多く、対策前地すべりの安全率は通常Fs=0.95~1.0程度と評価して、対策を実施した後の安全率は対策の重要性に応じてFs=1.05~1.20程度に向上させることを目標に実施されます。



(2016年11月02日 初稿)

English

countermeasure against landslide

定義

地すべり対策工とは、山地や丘陵を構成する斜面の一部が、降雨・融雪や地下水の急激な増加などの原因によって平衡状態がくずれ、下方に移動する現象が起きようとする際、これを緩和・停止するために実施する工事の総称を表します。